自治会など小規模団体の会計システムをエクセルで作ってみた。


2021.9.1更新

<自治会など小規模団体向け会計システムの概要>

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前々任者から、自治会の会計も複式簿記にした方がいい、とアドバイスをもらったのだが、確かにそれが、世界共通である、多くの人が標準的と受け止める、それは分かるのだが、果たして、そこまで本格的なものが必要か。悩みました。

もしそれが、割と簡単に作成できて、割と簡単に使用できるなら、いいのかも知れない。

小さい団体では、お金の動きの多くは、あれ買ったこれ買ったといった簡単な出費です。出納簿主体といえばその通りです。しかし細かく管理するなら、例えば、出費を現金でする、預金でする、預金を下ろしてから現金でする、小口現金を持っておく、など、そうしたものは、仕訳帳のような記録になります。

ネット検索しますと、色々な方がソフトを作成されているようですが、エクセル製で無料のものは、古いものが多いです。単式簿記が殆どです。無料のものは期限や機能を削っていて、有料版へ誘導する形になっているものが多いです。

良さそうに感じたのは、「ちまたの会計」です。すっきりしていて使いやすそうです。ただ、クラウド型というのはネットが寸断したらどうなのか、やはり有料版へ誘導されるのか、など少し不安な要素もあります。

そんなわけで、自分で、やってみたのですが、

結局、出来上がったのは、上図のようなオーソドックスな構成になりました。

百聞は一見に如かず。まずは、現物をダウンロードして眺めてみてください。小さなEXCELマクロファイル(xlsm)です。

ダウンロード(Windowsのみ)(無料) 

作成履歴
※Macではバックアップ及びPDF作成のマクロVBAが動作しません(今後余裕があれば勉強します)。

ダウンロード後の最初の起動時には、「編集を有効にする」「コンテンツの有効化」をしてください。

ポイント解説

<1>仕事は、前任者からバトンを引き継ぐところから始まる。

使用準備は、前任者から書類(コンピュータデータ)をそのまま引き継ぐところから始まります。マッサラ空欄のところから準備を始めるとなると、気が重くなりますよね。

大事なのはバトンを引き継ぐこと。そして、前任者の続きから、一行一行、継ぎ足していくという発想でしょう。

動きながら学ぶ、後で間違いを発見した時は、その時に直せばいい、そのように気楽に使いたいのだと思います。そのためにも頻繁にバックアップが大事です。

ダウンロードしたEXCELマクロファイルを開き、「説明」シートをご覧ください。


<この会計システムの操作として、知っておくべきことは、この「説明」シートへ要約してあります。>

ふ〜ん。と、割と簡単に、手順が理解されると思います。年度とは、期間に付けた呼び名のことで、その期間は、全く自由自在に最大12個にカットできるケーキのようなもの、です。

しかもこの期間計算は全くの後付けです。

日付と伝票Noをキーにした伝票情報が残っている限り、その全体の中から、後から勝手に期間を設定して、その勝手な期間で決算処理をすることができます。

これはデータベースで育った平成の人には当たり前のことでしょうが、バッチ更新で育った昭和の人、つまり「月次更新をする前に翌月のデータを入れたらダメ」と体得した人には、衝撃かも知れません。

つまり、上の「年度初めの設定」を忘れたまま、新年度の伝票を入れ始め、4月が過ぎ5月に入っていたとしても、焦ることはありません。いつでも年度設定は出来ますので。

但し、実際は、4月上旬には、前年度決算を説明して承認を得なければなりませんから、そのようなルーズなことにはなりませんが。

何か変更する前には、必ずバックアップを取る手順になっているわけですが、このEXCELマクロファイルは非常に小さいです。どうでしょう。1年経っても1MB以下のサイズだと思います。つまり、写真をバチバチ撮られると思いますが、あれが1枚4MBくらいあります。それを思えば、この会計システムのバックアップ容量など雀の涙。バチバチとって気楽に復旧できる方がいいでしょう。

それでは次に、伝票情報入力の場面に進みます。

<2>一連の過程を、一つの伝票内に収める。

複式簿記について、ご自身で学習されるなら何の問題もありません。しかし自治会など小団体の会計では、それほど複雑な取引はありませんので、それを丸ごと暗記してしまう、その方がラクだと思います。いくつかシナリオを紹介します。

「出納簿」シートを眺めてください。

<出納簿兼仕訳帳>

まず、具体的なシナリオの前に、上段にある青色のボタンについてザックリ説明します。実際には、「解説」にもう少し詳しく書いてあります。

全表示:この出納簿シートに入っている全行、全列を表示します。伝票件数が増えると、最近のデータが下の方にあるため、探し出すのに時間が掛かります(ここでは詳しくは説明しませんがフィルターを使えばラクです。具体的には緑色の「処理日」のセルの右下にある矢印をクリックすると、日付がズラッと表示されるので、その中から選べます。)。全表示は、使い慣れてきて、フラグがどんな条件のとき表示するのか、など、中身をチェックしたいとき、クリックします。

最終行の表示:紙の伝票フォルダがあれば、新しい伝票情報を作る時、前回の伝票を見て確認してから、その次の伝票Noから作りますよね。それと同じ所作です。

行追加:上の行の計算式をコピーしながら下に新しい行を追加します。計算式の入った行が正しく作られると、一番左列の「使用可」列に「可」が表示されます。この行に、伝票情報を入力します。このあたりがちょっと面倒に感じるかも知れませんが、勘弁ください。

出納簿全表示:伝票情報を入力済みの、全行を表示します。

期間のセル:2つとも空欄の場合は、全期間と見做します。

科目のセル:科目を選択して入力します。空欄の場合は全科目と見做します。なお科目G(科目グループ)は自動表示します。

抽出表示:指定された期間及び科目の行を表示します。

PDF表示:抽出表示の内容を見やすくPDF表示します。科目の選択がある場合は、その科目はハイライトされます。総勘定元帳と見做します。科目選択がない場合は、ハイライトのない指定期間の全伝票リストになります。必要ならPDFから紙へ印刷ください。

シナリオ1)班長は、集金した会費を、会計担当のところへ届けた。会計担当は、その日のうちに、それを銀行へ預け入れた。

この取引の仕訳が以下です。

<シナリオ1>

集められた会費は、細分類として一般世帯分と近々転居予定の方の分を分けて入力します。会費(収入)は右側(貸方)に書く、得られた現金は左側(借方)に書くのがルールです。さらに会計は現金を自宅に預かったままでは不安なので速やかに自治会の普通預金へ預け入れました。手元の現金が減る場合は右側(貸方)に書く、同時に普通預金が増える場合は左側(借方)に書くルールです

班長が持ってきたお金は、合計額の254,400円でした。班長がもし253,000円と1,400円を別々にして持って来たなら、行番1の現金を253,000円、行番2の現金を1,400円と記入してもOKです。

いずれにしてもその合計額254,400円は、その日のうちに預金に預け入れており、それを一連の流れとして、伝票No.34へまとめて記入しています。

シナリオ2)自治会役員が書類保存ファイル代と書類コピー代を立替払いした領収書を、会計へ持って来たので、現金を渡して精算した。

この取引の仕訳が以下です。

<シナリオ2>

事務用品を現金で買った場合、手元の現金が減るのは右側(貸方)に書く、事務費は一般的な支出であり左側(借方)に書くのがルールです

この場合、1行だけにして、摘要に、各々の金額を書き込んでもOKです。色々、臨機応変に一番わかりやすい表現を選んでください。

実は、伝票情報の殆どの多くは、この、(借方)事務費などの費用 : (貸方)現金又は普通預金、のパターンです。

いくつかのシナリオを紹介しようと思いましたが、この1)と2)だけ知っておけば、十分に思えます。もし、あれば後日追加します。

<3>伝票はファイリングして、証憑の整理に使う。

<ファイリングされた伝票>

伝票は、PDFを作って確認してから、PDFを紙で印刷します。証憑を貼り付ける台紙になりますし、表紙にしたりして書類の整理に便利です。

<4>総勘定元帳はこんな体裁。

<総勘定元帳PDFの例>

総勘定元帳は、指定した勘定科目を、借方または貸方に持つ取引をピックアップした表、と言えます。但し、一般的な総勘定元帳は、相手科目の摘要が分からないと、内容が把握しにくい時があります。むしろ出納簿兼仕訳帳から指定科目をピックアップしてハイライトすれば、全ての情報が並列的に目に入り、分かりやすいと考えました。

<5>試算表は会社の決算書のよう。現金、普通預金の残高確認にも使います。

試算表(TB)は、設定した期間毎に、データを集計します。一般的な、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)を縦にガチャンと合体させた形です。但し、細分類については、集計していません(処理が重くなり過ぎないか懸念して)。ご面倒でも、フィルターを利用して集計して、ハンドで転記してください。

現状、VBAを細かく設定してしまったので、試算表の行や列の追加削除を行わないように、お願いします。

伝票の入力後など都度、「期間計算」を行うと、日々の現金、普通預金の残高が確認出来ます

手持ち現金及び預金通帳残高と、適宜、チェックください。

<試算表>

<6>予算との比較

予算との比較については、気の利いた工夫はしていませんが、試算表の後ろの方の列に、年間予算の入力フィールドがあります。累計実績との比較表があります。おそらく比較対象年度やグラフの見せ方などはケースバイケースと思われますので、ご自由にご利用ください。

<試算表の右端に、年間予算の入力フィールドがあります。常に、累計実績と比較されます。>

<7>科目細分類表は、科目名の変更の仕方に注意! 

ここには、科目名、科目グループ(G)、細分類の3つの項目があります。そのうち、科目名はキー項目でしてユニークでなければなりません。それに対して、科目G及び細分類は、科目名の補足情報でしてユニークである必要はありません。

科目グループ⊇科目名です。科目グループには複数の科目名がぶら下がっています。
細分類⊆科目名です。科目名には複数の細分類がぶら下がっています。

科目名、科目グループ名、細分類の変更は、「置き換え」が出来ます。

という言い方は不正確でして、仕組みを簡単にするために、セル内の文字列が、変更前の文字列と完全一致したものを、変更後の文字列に置き換えます。この、今開いているEXCELファイル内の全てのセルを置き換えます。

イタズラで、文字列 [ ] を [AA]へ置き換えます。 → 置き換え実行

を行いますと、全てのシートの空欄にAAが入ってしまいます。

科目名については、例えば、「普通預金」を「現金」に変えてしまうと、元がどちらかわからなくなってしまいます。

こうなると困ってしまいます。

「置き換え実行」の処理の先頭で、時刻付きのバックアップEが作成されますので、間違って保存してしまった時は、これを使って元に戻してみてください。

科目名の変更については、影響をよく考えた上で、実行ください。

科目Gの利用方法は、科目を大括りにすることです。例えば、資産、収入、支出、といったまとめ方もあるでしょう。現金と普通預金には☆を入れると判別しやすいとか。とりあえず、そこまで本格的なことは不要なので、「 - 」にしてあります。

<8>過去の伝票データを参考にしたい場合は、過去のバックアップEXCELを新しいウインドウで開いて、横に置く。

このシステムは頻繁にバップアップを取りますので、そのバックアップから目的の頃合いのものを、新しいウインドウとして横に開いて置き、現在使用中のEXCELへコピー&ペーストすればいいです。要は、過去のコクヨの紙フォルダを開いて見るのと同じです。

<9>PCやファイル破損に備え、フォルダをクラウドバックアップしておくことを、お勧めします。

フォルダのバックアップ方法にも色々ありますが、クラウドバックアップを利用するのがラクでしょう。例えば、Google Driveであれば無料で15GBありますので、結構、長く使えそうです。

<10>最後に、ご参考までに、使ったVBAマクロの一部を載せておきます。なお、現金照合表と手書き領収書フォームは、オマケです。

VBAマクロ記述

多く使ったマクロは、ある条件によりYやNなどのフラグを列に入れて、次にそれをフィルターで行を選択させる流れを、ボタンへ登録するやり方です。

日曜大工のつもりでしたが、結構、本格的になってしまいました。とは言うものの、かなり自由度があります。様々な場面で使えそうな感じもします。私のEXCELを踏み台に、色々工夫改善されるもよし、ご活用いただければ幸いです。

以上です。