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イーシャは、 靴屋の前で、いつも立ち止まった。そして小さく踊る。
いえ、通行人に見せびらかすのではなく、ショーウインドウを見ながら、足だけ軽やかに、とても控えめに、数秒間、タップを踏むのである。
彼女は、思い浮かぶフレーズにアドリブでサッと足を動かしているのである。
よく少女がする所作だ。
それがお洒落に、溶け込んでいるので、街ゆく人は振り返る。
ある日、いつも欲しくて見つめていたクラッシックなタップシューズを買った。
嬉しくて、靴屋の前で、踊った。タップした。よく会う近所の子供と一緒にダンスした。
知らぬ間に街路灯がつく夜になっていた。
楽しかった私だけのひと時。
また明日。
可憐な少女から大人へ移ろう姿を表現しようと思いました。曲としては、変則的なリズムが展開されますが、繰り返すことにより、聴きやすくなっていると思います。和音構成はあまり凝らず、マイナーな素地に、メジャーなお洒落感を上から塗った感じに仕上げています。
時代は、昭和終わりから平成の初め頃のイメージでしょうか。
No.72 ( July/2021)( Cubase )