※はじめに
2016年はPPAPが一世を風靡しました。「覚えやすさ」がヒットの理由の一つと言われます。
だが、まてよ。そうとは限らないだろう。「覚えにくさ」が理由でヒットすることだってあるだろう。
そう思いませんか?
そこでです。
いつの話だ、とお叱りを受けそうですが。
水泳ファンにとって忘れられないのが、オランダのスーパースター、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドです。調べてみると、本名は、ピーター・コルネリス・マルタイン・ファン・デン・ホーヘンバンド
とさらに長いようです。
プールに登場する時のポーズで、鳥肌が立つくらいカッコいいと思うのが2人います。
一人は、萩野公介で、入場してプールをジロッと睨みガンを飛ばす、あの瞬間にゾクゾクします。
あと一人が、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドです。
両手を上に挙げて、首をななめ上に傾ける、そのポーズです。なんていうんですか、肘の角度、手首から上の角度、その反り上げた感じ、それと観客席を見上げる顔の角度、それが絶妙のバランスなのです。
この写真は、シドニー五輪の時のポーズで、ちょっとカッコよすぎますけど。

しかし、もっと若い頃は、素朴で、どこか庶民的で、不器用そうな、シャイな、気取りのないポーズで、それが良かったです。ン〜〜ン。トゥー・シャイシャイ・ボーイ。
それはそれは、スーパースターらしくない、あどけなさ、に魅力がありました。
で、一たびスタートし泳ぎだすと、他を圧倒する世界一のスピード。
しびれます。
そんな人気者のピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドですが、
「ピーター・ファン・デン・ホーヘンバント問題(※1)」なる、腹の皮のよじれるブログを発見しました。
陣内孝則のコントを彷彿とさせます。
日本中が、この問題に、いかに熱くなっていたかが、よく分かります。
(※1: 名前は英語表記では、Pieter Van den Hoogenband で、最後がdなので、日本語による記載は最後は「ド」と書かれているものが多いので、このブログは「ド」にしましたが、オランダ語に詳しい方の解釈では「ト」に近いとのことですので「ト」も正解でしょう。いずれにせよ、題名として扱い「ピーター・ファン・デン・ホーヘンバント問題」と呼ぶ場合は、これは筆者の創作語、固有名詞と捉えて「ト」と表記することにします。)
ここまでギャグに扱うことの方が問題ではないかとちょっと心配になりますが、傑出した筆致、文章表現力です。↓
http://www.1101.com/athens2004/Hoogenband.html
このブログをかいつまんで言うと、
~イアン・ソープのことは、「ソープ」と言うくせに、ピーター・ファンデンホーヘンバントは絶対に略さない~この世紀の大難問、この解明に果敢に挑んだ物語。です。
日本国内に目を向けますと、似たようなことが起こっているのですね。
日本にも「アナウンサーが必ず名前をフルネームで呼ぶ競泳選手」、がいましたよ。
覚えていますか?
そうです。
ロンドンオリンピック、個人メドレーの代表、静岡県裾野市出身、
「高桑健」です。
まてよ。
そうですね。
そうか。
「高桑健」を「高桑」と呼ばずフルネームで呼ぶのは、ウケ狙いと、感じてしまいますが、どうもそうではない。「瀬戸大也」も「瀬戸」と苗字だけ呼ぶことはまずない。しかし。「北島康介」は「北島」と呼ぶことも、そこそこあったような記憶がある。「萩野公介」も、「萩野」と呼ばれることが、そこそこあるような印象がある。
この現象をどう理解したらよいのだろうか。
基本的には、実況のアナウンスは、フルネームで呼ぶことになっているのではないか。
それが原因で「ピーター・ファン・デン・ホーヘンバント問題」が持ち上がって来たのではなかろうか。
最後に、水泳ファンなら忘れられない、歴史に残る名勝負を紹介しておきます。
ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド vs. イアン・ソープ
2000年シドニー五輪です。稀代のヒーロー、オランダのピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドは、敵地の中心、オーストラリアのシドニーに乗り込みました。
開催国の期待を一身に背負うスーパースター、イアン・ソープと、真っ向から勝負しました。ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドは世界記録(準決勝と全く同じタイム)でイアン・ソープをねじ伏せました。その200m自由形決勝の様子をご覧ください。
↓このYouTubeは、非公開にされてしまうかも知れません!
もう一つ、この3人が揃っているレース。凄いです。イアン・ソープ、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド、マイケル・フェルプスの3人です。2004年アテネ五輪200m自由形決勝です。
よろしくどうぞ。