また港街にやって来た。
汽笛が聞こえる。
言いようのない、寂しさに包まれる。
だが、しばらくじっとしていると、ザアッと洗い流されてしまうような、ハッとさせられるような、もっと暖かで広い、光や音や人の姿を、感じることになる。
ボオッとしていると、時代から取り残されそうな、そんな息吹、スピード、力強さを持つ、常に変化している場所であると感じる。
それは元気や夢、創造力を与えてくれる。
この港から、やりたいこと、やるべきことを積み込んで、颯爽と、乗り出していくのだから。
そんなこの港街が大好きなのだが、私は若過ぎるのか、積み込んで、船出をしたいようなことが、まだ見つからない。
だが、何か見つかりそうな気がする。
そう。もうあるのだけれど、見えてないだけか。
酒場に入ると、船乗りが、なごやかに、憩いのひと時を過ごしている。ワルツに乗ったダンスも、静かで滑らかで美しい。
安心に包まれた時間。
私はここに来ると、将来積み込むであろう、小さなかけらを、拾い上げた気分になる。
ー 港街 ー
2018年の4作目です。年間4作の目標です。出来てよかった。季節はもう秋から冬に向かう頃ですので、センチメンタルな雰囲気にしました。挿絵の部分を、動画にするか思案中です。
(Oct/2018)(Cubase)