純正のQuickTimePlayerとテキストエディットだけで、かなりのことができる
YouTube,SNSといった庶民による動画配信が拡大したことにより、動画作成や字幕作成、翻訳などについてのアプリやサービスは、百花繚乱といった状況です。
アプリやサービスを、取り替えては楽しむ。それは若い人は、それでいいのでしょうが、私なんかは、手作業で地味にコツコツできないものか、とすぐに考えてしまいます。
QuickTimePlayerとテキストエディットは、Macを買えば、最初から入っています。いわば大工のノミとカンナのような小道具です。今回、感じたのは、新しいものの吸収も大事だが、古くからある道具にコツコツ慣れることも大事だろう、と思えることです。
下のイメージ図は、動画と字幕作りのワークフローです。結局、作られたものは必ずといっていいほど、作り直しが発生するわけです。その時に、本格的に動画アプリでその修正を行うか、または、ノミ、カンナ他DIYショップで買えるような小道具で行うか。そこの選択ですが、私は、まずはDIYを選ぶ。次に動画アプリなどを選ぶ。そのような順番で考えます。
スクリプトのリンク | 説明 |
srtからvttを生成する(AppleScriptクイックアクション) | 動画🎥(無音) 新たに作ったVTTファイルに対して、 (1) 先頭行に文字列”WEBVTT”を含む行を挿入する。 (2) 2行目に空白の行を挿入する。 (3) 3行目以降から、読み込んだデータを書き込む。 (4) “–>” がある行は、行の中の”,”を”.”に置き換える。 ※元のファイルを残します。 |
vttからsrtを生成する兼srtの連番を付け直す(renumbered.srt)(AppleScriptクイックアクション) | 動画🎥(無音) vttからsrtを生成します。また、新たに作ったSRTファイルに対して、 (1) 文字列”WEBVTT”のある行は削除する。 (2) “–>” がある行は、行の中の”.”を”,”に置き換える。 (3)連番を1から振り直す。 ※元のファイルを残します。新しいファイル名は、”元のファイル名_renumbered.srt”となります。 |
字幕文章に時刻を挿入するvtt(timeadded.vtt)(AppleScriptクイックアクション) | 動画🎥(無音) 文字列の先頭に、開始時刻(00:01:23)を追記する。私はカモメ→(00:01:23)私はカモメ※元のファイルを残します。_timeadded.vttが新しく作られます。この字幕文章の先頭に時刻情報を入れる目的は、翻訳された外国語の示す動画の位置を分かりやすくするためです。 |
字幕文章の時刻を削除する(timeremoved.vtt)(AppleScriptクイックアクション) | 動画(🎥無音) 上の「字幕文章に時刻を挿入する」を取り消しにします。※元のファイル_timeadded.vttは残します。新しいファイルは、_timeadded_timeremoved .vttになります。 |
字幕文章に番号を挿入する(numadded.vtt)(AppleScriptクイックアクション) | 文字列の先頭に、番号1)を追記する。私はカモメ→1)私はカモメ※元のファイルを残します。_numadded.vttが新しく作られます。この字幕文章の先頭に番号を入れる目的は、翻訳された外国語の示す動画の位置を分かりやすくするためです。 |
字幕文章の番号を削除する(numremoved.vtt)(AppleScriptクイックアクション) | 上の「字幕文章に番号を挿入する」を取り消しにします。※元のファイル_numadded.vttは残します。新しいファイルは、_numadded_numremoved .vttになります。 |
vimeo_auto_generated_captions.vttの修正をする(AppleScriptクイックアクション) | 動画🎥(無音) Vimeoの字幕自動生成からダウンロードしたファイルの、文字列の空白を削除する。vttのまま。※直接上書き更新します。何度でもダウンロードできるため。 |
vttの字幕時刻の秒ずらしを行う。(timeshifted.vtt)(AppleScriptクイックアクション) | 動画🎥(無音) 動画の途中で、挿入や削除を行うと、字幕ファイルの時刻にズレが生じます。挿入や削除を行った以降の動画をコピーして、その分の秒ずらしを行うことができます。但し、文章の頭に時刻情報を入れてある(_timeadded.vtt)については、エラーになります。一度、上の「字幕文章の時刻を削除する」を実行した後で、ここを実行してください。 ※元のファイルを残します。新しいファイル名は”元のファイル名_timeshited.vtt”となります。 |
<クイックアクション>
ポイント解説
1 「字幕工房」の利用
動画や字幕を修正する小道具は、ノミやカンナのようなものと言いましたが、小道具側に入れるが、ちょっと高級なもの、電動ノコギリのようなものが「字幕工房」です。
ナレーションを文字起こしするような場合は、Vimeo、Vrew、Filmoraなどの機能を使って字幕ファイルが自動生成されますが、内容を文字で説明する場合は、説明文を自分で打ち込むことになります。そのような場合に、「字幕工房」は向いています。
「字幕工房」は、動画(mp4 mov)の上で、右クリック->このアプリケーションで開く->「字幕工房.app」で開けるのが非常に便利です。
この「字幕工房」は字幕をQuickTimeプレーヤーおよびSafariと紐付けするようになっています。その紐付け状態でWordPressプレーヤーで再生させると字幕が二重になったり扱いが面倒になります。従って、私としては、動画は動画として独立、字幕は字幕として独立して作成して、配信するときに、紐付けて動作させるやり方にします。
その方法ですが、2つ注意点があります。1つ目は、作成した字幕を忘れずに書き出すこと。ファイル->SRT->書き出す->日本語、とすると同じフォルダにSRTが書き出されます。これを忘れると、終了の時、字幕が何も残らない結果(何も修正されない結果)になってしまいます。SRTで書き出すと言うことが字幕の保存という意味です。作業を後日続けたい時は、「読み込む…」で行います。その上にある保存、別名で保存は、mp4.mov動画の保存であり、私の場合は使いません。
2つ目は、終了する時、「動画に加えた変更を保存しますか?」と聞かれますが、動画のイメージ自体には何も変更はありませんが動画と字幕を紐付けすることは、動画にとっての変更となるでしょう。動画には何の変更もされたくありませんので「保存しない」を選びます。
上のスクリプトの説明表の中の動画は、「字幕工房」QuickTimePlayerで作成しています。
※「字幕工房」:Mac App Storeで購入できます。買い切りで約1000円。
2 字幕文章の時刻情報(00:00:00)の挿入と削除について
上の表にあるように、字幕文章の先頭に秒未満をカットした時刻情報(00:00:00)を、挿入したり削除したりできます。一応、その都度、ファイル名に、timeadded、timeremovedが追記されます。なぜ、このようなものを用意しているかですが、動画内の字幕が翻訳できない場合の補助として、その字幕の位置を示すためです。例えば、Vimeoなど動画内に表示される字幕を翻訳できる場合と、WordPressのように動画内では翻訳できない場合があります。字幕一覧は翻訳されます。
時刻情報が文章に入っている例:
下は、Dropboxの動画をWordPressプレーヤーで配信している例です。ページ左上の「言語を選択」から適当な言語を選んで表示してみてください。(1)はリアルタイムで翻訳されますが、動画の外枠へ表示します。(2)は動画内の字幕は日本語ですが、字幕一覧は翻訳されます(長い動画の時は翻訳の改行が不安定になりますが)ので、時刻情報をキーとして内容を把握できます。
(1)メールを全受信に表示しない方法<字幕一覧なし> 33秒(動画🎥Dropbox)
(2)メールを全受信に表示しない方法<字幕一覧あり> 33秒(動画🎥Dropbox)
必要に応じて、文章頭に時刻情報を入れることが可能、と捉えてください。
3 その他
動画作成の作業を便利にするものとして、今回は、QuickTimePlayer、テキストエディット、字幕工房を具体的に取り上げましたが、網羅するならば、上に掲載したクイックアクション、それから、下にあるStream Deckの各設定が、全体像になります。
Stream Deckに関しては、また別に取り上げます。
以上。